迦楼羅「すだれ」を買いに行く。

すだれ職人

京都の夏はとにかく暑い。
京都にはその暑さを少しでも涼しく暮らすために昔からの暮らしの工夫や知恵がそこかしこに感じられる。
町家の天井が吹き抜けている事も玄関と奥を繋ぐ土間(通り庭)や、表を打ち水で清める事も涼しくする工夫だし、
風が通り易くする簾や風鈴も自然を感じ共に生きて来た、京都の伝統と文化の融合だ。

しかも情緒があり美しい。

引っ越しをして初めての年の夏。窓にはガラス戸しかなかった。
雨戸もないのだ。これじゃあ通りから丸見えじゃない?他の家の窓を見ると簾がある。
京町家に住むために必ず必要なもの『すだれ』である。なるほどこれは必需品だ。

「はて、何処に買いに行けば良いのか?」

最初はホームセンターやインテリア店を見た、安いプラスチック製のすだれもあるが、何だか趣が違う。
すだれのある町家を見ながら街をウロウロと彷徨い、
四条あたりまで歩いていると偶然だが「すだれや」さんがあった。

店の中ではおじさんが簾をぱたんぱたんと機織りのような機械で編んでいた。
おおお、間違いないすだれやさんだ」外からずっと覗き続け、決心して中に入った。

『すいません、すだれ欲しいんですが』思い切りダイレクトに聞いた。
「・・・・」おじさんは作業中で答えない。

しばらくしてこちらをチラっと見て『すだれやったらホームセンターへ行かはったらいいんちゃいますか?』
といたって冷たい。

そこでこれまでの経緯、京都で町家を借りたら窓から丸見え大変困ってる。
緊急にすだれが欲しい事、安っぽいホームセンターの簾ではなく本物が欲しい。
という気持ちを刻々と熱く語った。
『簾。欲しい』『すぐ、欲しい』という熱意が伝わったのか、
おじさんの雰囲気が一気に変わった。(職人魂に火がついたのか?)

『何処住んではるの?』

『妙法院の側です』

『ふ〜ん、せやったら、作ったるわ』

然も超特急で作ってくれ、翌日にはバイクで届けてくれ設置もちゃんとしてくれた。
窓にしっかり治まったすだれを見ながら
『4〜5年したら打ち直し、したるさかいな、そしたら10年は持つやろ、また来なはれ』と言ってくれた。

後でネットで調べたら、すだれ一筋60年の昔ながらの伝統の手作りすだれ職人。
頑固に手作りの技を守り続けている、
『田中すだれ店』の4代目のおじさんだった。

厳選された素材(ヨシ)で編み上げられたすだれは激しい雨風にも耐る耐久力と
見た目も美しく趣と風格が感じられた。

やっぱり京都の夏は「すだれ」だなあと一人納得する迦楼羅だった。


「田中すだれ店」
京都市東山区東山安井東入ル 075−561−2512

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karura

【妖精研究室】 妖精の絵を見たり、描いたり、探したり。 神話や伝説に語られる妖精は、人間と神の中間の摩訶不思議なものらしい。日本にも伝わる妖怪、龍、人魚、天狗も純粋な子供の心で見ると見えるかも知れない。案外すぐ側に。